東洋医学(中医学)の心(心臓)の作用・働きと不調による症状

心とは西洋医学で言うと心臓と同じです。しかし、西洋医学の心臓と東洋医学(中医学)の心の働きや作用は解釈が異なります。こちらの記事では、東洋医学(中医学)の心の作用と働き、そして不調になるとどのような症状が現れるかを説明致します。

①心は血を全身を巡らせるポンプ機能

肝に貯蔵されている血を全身に循環させる役割を担い、血の栄養分を身体全身に送り出す。

②心は精神をコントロール作用を持つ

心は、思考・意志・記憶など人の精神状態を心がコントロールしています。

最近テレビで、心臓移植をしたら、記憶が変わったとの放送がありましたが、これは東洋医学で説明がつくと思われます。

③心に不調が起こるとどうなる?

まず、血を全身へ巡らせるポンプ機能が低下すると、四肢(腕や足の事)や各器官まで血が行き届かないため、様々障害を引き起こす。もちろんポンプ機能が停止すると、血が巡らないため、死に至ります。

心血虚(しんけっきょ)

心血虚とは、心を栄養する血が不足した状態を表します。血を生成するために重要である脾(ひ)が何かしらの原因を受けると、心血が作られないため、心の循環不全になります。

心血虚の場合、心陽で熱を帯びるため、動悸・息切れ・胸苦しさなどが生じます。心は精神もコントロールするため、情緒の問題も現れます。興奮状態・寝つきが悪い・夢をよく見る・眠りが浅い・めまい・顔面蒼白などは心血虚による現れる症状です。

心陰虚(しんいんきょ)

心陰虚とは、心の陰液が不足した状態を示します。

心陰虚の場合、心火の熱を沈められなくなるため、落ち着きがなくなり、イライラした精神状態になったり、動悸・息切れ・胸のつかえ・のぼせ・手足裏のほてり・口渇・寝汗などの症状が現れます。

また、心陰虚が腎にまで波及した場合、心は火、腎は水の役割があり、お互いのバランス(心腎相交)が崩れるため、耳鳴り、腰背部痛、めまいなどの症状が現れます。

心気虚(しんききょ)

心の氣が消耗して起こります。加齢によって、心氣が消耗します。すると、動悸や息切れ、胸痛、青い顔、倦怠感などの症状が起こります。

また、心気虚によって心火が不足してしまうと、手足や背中の冷え、ひどいと全身の冷えなどの症状が起こります。

心のまとめ

心は全身に血を巡らせるためのポンプ作用と、精神をコントロールする作用を持っています。

肝の疏泄作用によって血流量が決まり、心のポンプ作用によって、体内に血を巡らせるため、肝の異常が心へ、心の異常が肝へ影響を与えます。

心の裏は小腸であり、心の熱は小腸に伝わるため、心の不調により、血尿や排尿痛が出現します。

心・小腸が弱くなると、狭心症・不整脈・心筋梗塞・動脈硬化・高脂血症・味覚障害・動悸・息切れ・循環器障害・仙骨の痛み・リウマチ・ノイローゼ・うつ病・不眠症・精神病・腎性尿毒症・血尿・そけいヘルニア・脳膜炎・口内炎・下痢などの症状が現れます。

五行論(自然界に存在する全てのものを5つに分類して考える事。)で心は下記の表に記載してある事と関連が深いとされています。

 五行 解説
五臓
心に対する腑 小腸
心が支配する感覚器
心のつかさどる器官
心が病んだ際に変化がある分泌液
心の変調が現れる部位
心に宿る精神
心が属する季節
心が嫌う外気
心を病みやすくする動作 視とは、目を使いすぎる事。
心不調に際の皮膚の色
心変調の際の感情
心変調に現れやすい部位 憂とは憂える事。
心変調時に見られる症状 げっぷ
心変調時の体臭、口臭 焦とは、こげくさい事。
心変調した時に好む味
心変調した時の声 笑とは、力なく笑う事。
心を補う果物
心を補う野菜 ノビル
心を補う穀物 モチキビ
心を補う肉
心が属する経絡 手少陰 氣・血・津液の流れる通り道